2024年度カンボジア農業支援(米銀行)プロジェクト活動報告
- lensman3
- 2月24日
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更新日:8月5日
●プロジェクト概要
セービング・グループ(仏陀協同組合)の概要と運営の仕組み
2019年の洪水発生時にCEPより緊急支援を行ったひと家族あたり$50を返済してもらい、その資金を原資としてバッタンバン州2カ村にて設立、2022年より開始。
(プレイプリエル村1グループ、タグネン村3グループ、計4グループ)
各グループ内で運営委員会の役員を3名選出し、代表、書記、会計係などを決める。
各グループは集会を開き、定例会の周期(毎週または毎月1回)、ローンや預金額の上限、利子率、ローンの返済時期(月々または1年の一括返済)などのルールを決める。
借入れ希望者は目的や借入額、返済時期などを申請し、委員会内で審査の上決定し貸付けする。
ローンの枠とは別にメンバー各自の状況に応じて毎月少額の預金をし、1年会期終了時に各自の預金額に応じて分配される。
利子は委員会の運営費(10%)や役員手当(30%)、緊急時のための備蓄費(10%)に当て、残り50%は預金をしたメンバー各自の分配金に加算される。
●プロジェクト実施状況
<バッタンバン州プレイプリエル村>
3期目の受益者:セービング(積立て)41名、小規模融資33名
小規模融資は2024年4月に1,000ドルを増資し、3期目の受益者33名(約4,100ドル)
借入金の使途は前年同様主に稲作やとうもろこし栽培に必要な肥料など耕作の費用として、またコメやとうもろこしなど穀物の運搬費などに使われたとのこと。その他の使途として15%ほどは養鶏や養豚など、また雑貨屋など小規模の商売への費用に充てたメンバーもあったそうです。
ただ今年の稲作は雨季の雨量が例年より少なく、米もとうもろこしも出来が良くなかったそうです。
セービング(積立て)は今期41名のメンバーで1年間の積立額約1,000ドル、利息376ドル。
委員会の役員により帳簿、資金管理ともしっかりされており順調に運営されているようです。
トゥエンさんからは、メンバー特にセービングに関して人数と預金回数が増えているため、規約の更新と、記帳を担当する役員の訓練や指導が必要なのではないかとの提案がありました。
<バッタンバン州タグネン村>
グループ1:3期目の受益者23名、セービング(積立て)13名
原資2,300ドル+積立100ドル =合計2,400ドル
グループ2:3期目の受益者32名、セービング(積立て)32名
原資2,200ドル+増資1,000ドル =合計3,200ドル
手元金68.75ドル
グループ3:3期目の受益者、セービングとも起動せず休止状態
原資1,200ドル =合計1,200ドル
グループ1、グループ2では貸付け・積立てとも順調に行っており、帳簿の管理・運営も問題ないとのことでしたが、グループ3については返済金が滞っておりうまく回っていない様子。負債者が再三の返済要請に応じないため、他のメンバーのためにもグループ2へ編入することを決め指導したそうです。
ただいずれにしても原資は取り戻さなくてはならないので、未返済者には引き続き返済を求めていくとのことでした。
グループ2へは4月に1,000ドルを増資し受益者も増えました。
借入金の使途は前年と同じく大部分は肥料や殺虫剤など米耕作の費用に使われたそうですが、一部のメンバーは雑貨屋を開き野菜や米、粥などを販売する元手として、また一部は他からのローンの返済に充てたものもあったそうです。
米の収穫は昨年より良かったそうですが、今年は米価の相場が低くなっているとのこと。豊作になっても資金面ではあまり利益は上がっていないようです。
⚫︎プロジェクト総括と今後の展望
バッタンバン州2か村でのセービンググループ(仏陀協同組合)は3年目の会期となり、今回は直接訪問して視察できませんでしたが、概ね順調に運営されているようです。
前年度に両村から増資の要望があり、運営が軌道に乗っておりメンバーの士気も高いプレイプリエル村と、タグネン村のグループ2に対して1,000ドルずつの増資を決定し、トゥエンさんに依頼して届けてもらいました。
タグネン村のグループ1では一部ローンの返済が済んでいないメンバーがおり、グループ3については、返済不能も含めて資金が動いていない様子、顧問役のシダさんとも相談しグループ2に併合することにしました。今後も未返済者から資金を回収し運営に回せるようにしていきます。
今年の貸付けについて、前年同様稲作に必要な資材の調達に使われたようですが、一部のメンバーが野菜や養豚・養鶏、雑貨の販売など稲作以外の用途に使ったとのことで、村人が資金の使い方を工夫できるようになってきたと、少し期待が持てる変化が見られました。
カンボジアでは他のアジアの国々と同様、スマートフォンを使った電子決済や送金などのテクノロジーの波が地方にも押し寄せてきており、物の売り買いや流通などもその影響を受けて急激に変化してきているようです。
村の自律的な活動として行われているセービンググループが、そのような変化にどのような影響を受けるのか、病気や葬儀、災害など突発的な事態が起きた時の共済的な機能が果たせるような形で定着していけるよう、来年度以降もプログラムの推移を見守っていきたいと思います。










































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