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農業支援(米銀行)プロジェクト・セービンググループ(仏陀協同組合)事業視察 at バッタンバン州 2023年11月27日

バッタンバン州2カ村のセービンググループ(仏陀共同体)事業は、2019年の洪水発生時に行った緊急支援の資金を原資として設立された、小規模融資と共済組合を兼ねたもので、2022年より開始されました。

現在プレイプレイル村に1つとタグネン村で3つ、計4つの組合が運営されており、その進捗状況確認のため昨年に引き続き視察・モニタリングを行ってきました。


現地トレーナー・トウェンさんには2023年2月に行われた組合各グループの決算集会の監査と、2023年度第2会期目の運営をスムーズに行うための定期的なフォローアップをお願いしており、無事に1年目の決算を終え2期目がスタートしたとの報告がありました。

 

今年もカンボジア全般的に雨季の到来が遅く、また雨量もそれほど多くなかったようですが、米の成育は良く収穫も見込めるとのことでした。(収穫期は2024年1〜2月頃の予定)

 

今回の訪問時も雨季明け間近の時期で農村地帯にはまだかなり水が残っており、ところどころ道路が冠水しぬかるみがあり難儀しましたが、何とか村まで辿り着くことができました。

バッタンバン州以外のコンポンスプー、コンポンチュナン各州へは、カンボジア全土で行われる水祭りの影響で残念ながら訪問できず、今回はバッタンバン州のみの訪問となりました。


●プロジェクト実施状況

<バッタンバン州プレイプリエル村>

プログラム開始時32名→2期目に入りまた新たな参加希望者があり現在55名

 

小規模融資は2023年2月に返済され、2期目の受益者39名(3,400ドル)

借入金の使途は主に稲作に必要な肥料、殺虫剤、耕作の費用として、またコメやとうもろこしなど穀物の運搬費などに使われたとのこと。

セービング(積立)は今期55名のメンバーにより1〜11月間の積立額約1,600ドル、利息300ドル

委員会の役員により帳簿、資金管理ともしっかりされており順調に運営されている様子でした。

ただ参加メンバーの増加に伴い借入れ希望者も増えたが、原資に限りがあるためなかなか貸付けができない現状があり、この課題を打開し組合をより発展させるためには1200〜1400ドルの増資が必要とのことで、できれば資金支援をしてほしいとの要望が出されました。

 

稲作は来年1〜2月の収穫期を待つ状態で、この時期村人は副収入を得るためコーンの収穫で雇われ労働に出ている人が多いそうです。日当は25,000〜40,000リエルほどとのこと。

この他にも自分たちで田畑の余った土地でコーンを栽培しているそうで、1トンあたり130〜140ドルで売れるとのこと。

米の栽培については、この土地では灌漑施設が整備されておらず雨季の雨頼みとなるため、1年に1期作しかできないとのことでした。

昨年要請のあったプレイプリエル村の新しい米倉は、CEPからの寄付と村人の資金で米銀行リーダーの家の敷地内に立派な米倉が建っていました。





<バッタンバン州タグネン村>

グループ1:2期目の受益者25名、セービング(積立)25名

      原資2,300ドル+積立50ドル  =合計2,350ドル

グループ2:2期目の受益者35名、セービング(積立)31名

      原資2,200ドル+積立56.25ドル =合計2,250ドル

      手元金6.25ドル

グループ3:2期目の受益者15名、セービング15名

      原資1,200ドル+積立55ドル  =合計1,255ドル

 

借入金の使途は前年と同じく肥料、殺虫剤、耕作の費用として使われたが、今年はヘビが多く発生し田圃が荒らされたとのこと。対策としてヘビにも効く殺虫剤を撒いたそうで、1度でなく4〜5回使わなければならなかったとのこと、そのための費用がかさみ、思ようにセービング(積立)ができなかったそうです。

セービング(積立)は、少額ずつでもできるだけ毎月していくと万が一の時に役に立つと説明し、再度積立を促すようお話ししました。

 

米銀行については、昨年から懸念されていた管理・運営体制を再構築するため、今年新たなリーダーと役員が選出され、12月中に集会を開いて仕切り直しをするとのこと。

同席したシダさんからも、まずは当初の原資となる種もみを元に戻しそこから改めて始める、その上でセービンググループに組み入れる形にした方が良いとの助言を受けました。





●プロジェクト総括と今後の展望

バッタンバン州2か村でのセービンググループ(仏陀協同組合)は2年目の会期となり、2023年2月の決算と借入金の返済も何とか滞りなく済んだとの報告を受け、ひとまずホッとしました。

参加メンバーの結束も強くなり、委員会役員の帳簿業務や金銭管理も適切に行われているようで、順調な運営状況が確認できました。

昨年トレーナーのトゥエン氏にお願いし、プログラムをさらに定着させるために1年間トレーナー契約を延長して指導とモニタリングを継続したことが良かったと思います。

メンバーのモチベーションが高く、参加者も増えて広がりを見せているプレイプリエル村に比べると、タグネン村は若干活動が盛り上がりに欠けメンバーも縮小気味なのが気がかりですが、何とか継続して運営していければと思います。

 

今回の視察で両村から増資の要望がありましたが、運営が軌道に乗っておりメンバーの士気も高いプレイプリエル村では、さらにメンバーを増やし発展させるために増資することは効果的だが、活動が停滞気味のタグネン村に対しては、今増資してもそれが有効活用されるか未知数なので、まだ増資をするには時期尚早とシダさんからコメントがあり、今後の動向を見て判断することにしました。


プレイプリエル村で一部の村人が試みを始めた養鶏業については、飼育家族内での自給という面では役に立っているものの、飼育数を増やし商売に繋げるところまではなかなか行っていないようです。

また雨季の雨が少なかった雨季前半の時期に、仏陀の池1の水が村人の生活にとても役立ったとのお話もありました。

 

セービング(積立)の有効性についてシダさんの説明によると、カンボジアでは地方でも銀行や送金システムが広がってきてはいるが、農村部に住む人々にはまだ銀行に預金をするための余剰金はなく、少しできても銀行口座開設などの手続きの仕方が分からない人が多いとのこと。

そこでまずは村の中で自治的に行うセービングは、村人に貯蓄をするという意識と習慣を身に付けてもらうためにも役に立ち、さらには病気や葬儀、災害など万が一の事態が起きても互助会の役割も果たせるので安心につながるとのことでした。


プログラムがある程度定着し各グループの管理・運営も安定してきたところで、次の段階は積立を充実させ自然災害や緊急事態に備えてできるだけ資金をプールし地域の安定を図ること、また貸付けをより有効に活用して、稲作に必要な費用だけでなく養鶏や野菜栽培など地場産業の立ち上げを促進するなど、もう一歩進んで地域の自立と発展に繋げることを目指します。

今回は具体的にその意識を持ってもらう契機になればと野菜の種を配布し、まずは実際に育ててもらい、少量でも収穫できたならそれを市場で売ってみる、プレイプリエル村ですでに行われている養鶏業をもう少し広げていくなど、できることから少しずつやってもらいたいとお話ししました。

 

次年度の増資を含め、来年度以降もプログラムの推移を見守っていきたいと思います。





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