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日蓮宗青年会第10回海外布教講演会

CEP代表 斉藤 大法は、全国日蓮宗青年会海外布教研修委員会の野田 寛行 上人より 【第10回海外布教講演会】の講師として依頼を受け、去る令和2年3月26日 東京小伝馬町にある 身延別院にて「Cambodia Empowerment Project ~仏教による心と社会つくりのチャレンジ~」と題して講演を致しました。

新型コロナウィルス感染拡大を受け、急遽寺院内施設を改め、道を挟んだ換気の良い集会所の一室で行われました。参加人数もぐっと減って7人くらい。でもウィルスを吹っ飛ばすくらい熱気に満ちた講演会でした。

<講演内容の概要>

  1. わたし(斉藤 大法)は、四方僧伽(しほうさんが)運動の一環として2006年10月~2008年4月までカンボジアに滞在し、現地カンボジア人スタッフとともにプノンペンにて大乗仏教の行事(御会式)奉行、米銀行、仏陀の池つくり、仏陀の道つくり、世界同時平和法要カンボジア運営などの活動に携わった。

  2. 帰国後もタイ・カンボジアその他で毎年開かれる世界同時平和法要(以後、セカヘイ)に参加していたが、内戦からの回復のステージの変化を感じていたところ、2010年のセカヘイ・カンボジアでの会議において、カンボジアの人々の望みを聴いたところ「教育の充実」とのが多数あった。

3. カンボジアは、ポルポトによる打撃から数十年経ってなお回復しない。その理由を考察した時に

1) ポルポト派の内乱の深刻な内容⇒僧侶、教育者、医師などの知識人が、失われた。

2) 世界各国の政府やNGOの支援の在り方⇒支援が、依存をつくりだした。

3) 復興の基礎としての教育の欠落⇒ 近年学校などの建物は、足りているが、教材や先生が不足。

4) カンボジアの仏教の疲弊⇒僧侶が還俗させられたり、殺されたため仏法の継承がほとんど途絶えてしまった。

などが考えられた。

4. 当時のカンボジアの生活と教育事情として

1) 地方の人口の9割が、一日1$以下で暮らしている。

2) 貧困ゆえに教育を受けられず。教育が受けられないがゆえに貧困から抜け出せない、という悪循環。

3) 2008年の調査では、6割以上が、中学校卒の先生ということも教育の不足をもたらしている。

私たち(後のCEPのメンバー)は、仏教こそが、根本として重要であると考えた。

なぜ、今カンボジアにおいて仏教教育なのか?

1) もともとカンボジアの教育や文化の根本は、仏教。~96.4%が仏教徒(⇔日本71.4%)        

 ※ 2011年、明治大学の調査より                  

2) しかも、ポルポト派によって、その文化の根幹が破壊されたことが、立ち上がれない最大の理由。

3) そのために、僧侶も一般の方も共に仏教の本質を理解しないままに盲目的な仏教信仰が、広がっている。

5. 以上の考察をもとに仲間とともにビジョンとミッションを考え、それを実現するために2014年にCEP : Cambodia Empowerment Project を立ち上げた。https://www.cep-ngo.net/basic-principle

6. その後、このミッションに基づく様々な活動を試みたが、今回特にお話ししたいのは、

「心の育成プロジェクト」と「スレプレイ村のマイクロセービング方式の共済システム」の2点

・心の育成プロジェクト https://www.cep-ngo.net/products

1) オリジナル紙芝居『キサー・ゴータミー(死と向き合い、死を受容することの大切さ)』作成と読み聞かせ。加えて2019年「いのちの教育のための紙芝居」を作成してカンボジアで実演(この講演会当日も実演)

2) オリジナル仏教絵本『みんなブッダの子(弟子)』 クメール版 作成・読み聞かせ・対談

3) プノンペン大学での講演・交流会(2014~2017年)

4) パンニャサストラ大学学長との面談、孤児院での”いのちの教育” https://www.cep-ngo.net/

※パンニャサストラ大学学長は、国家の真の復興と発展のためには、教育が重要であると考えている。

ここでわたしたちCEPが、重要視しているのは、

どのような仏教教育(教育の在り方)が、大事なのか?

ということである。

⇒良くありがちな「仏教の教え」という価値観を植え付けることではなく、「”いのち”そのものやその生死」と向き合うことを通して自ら気づき、目覚めてゆくことを大切にする「いのちの教育」である。それは、仏陀自が幼少の時に向き合い悩んだ事を自身の中で明確にしてゆくプロセスに通じると思われる。

スレプレイ村のマイクロセービング方式の共済システムについて

この特筆すべきは、これが日本人による提案ではなく、カンボジアの人々自らのアイディアと実行に基づくものだ、ということである。これまで、どちらかというとわれわれ日本人が発想し、経済的支援をすることによってなされてきた。それ自体は、意味があったが、いかんせんカンボジアの人たちにとっては、受動的な企画にならざるを得なかったと思う。しかし、そうしたこれまでの積み重ねもあって遂に彼らが自分たちで企画するに至ったことは、感慨深いものがある。真の復興に向けての兆しではないかと嬉しく思っている。

質疑応答 (記憶が定かではないところがありますが、恐らくこんな内容だったと思います)​​​

​​

<質問>カンボジアが、復興してゆくとして、先進国みたいな経済発展をしてゆくことは、どうなのでしょうか?もしそういう支援だとしたなら良いとは言えないのではないですか?

<応答>確かにおっしゃるように単に進国の後を追うような発展の在り方は、結局地球環境破壊にもつながり、人類の永続性をも危うくすることです。だからこそ、先進国のひとつである日本に生きる私たちが、これまでの経済成長と言われるものの代償として得た負の結果について彼らに知らせ共有していただくための活動もしてきました。それから単に日本の便利な機械ではなく、できるだけ現地の文化や生活スタイルに即した技術を導入することなどを考えます。そしてそのことを理解し、未来の永続的な幸せに向けて共に行動していただくためには、まず教育が大切であると考えます。その中身も含めて今教育への取り組みを大事にしているわけです。教育がないということは、搾取してゆくような経済のやり口やシステムに簡単に騙されてしまうということでもあります。

※その他いくつかの極めて熱心な質疑がありましたが、以上カンボジアの活動に直接関わるものに限定させていただきました。

<ブース出展 平和のアクセサリー> https://www.cep-ngo.net/goods

最後にカンボジアのチャンタさんが作っている平和のアクセサリーを紹介・販売させていただきました。チャンタさんは、幼い頃家族をポルポト軍に殺されてしまい、言葉では言い尽くせないほどの苦難の人生を歩んできました。孤児院にあずけられ、その後彫金の技術を学んだチャンタさんは、ポルポトの内戦で使われた武器を融かして戦争の忌まわしい記憶をアクセサリーに変えることで平和の思いを伝えようとしています。

わたしたちは、彼の思いと行動に胸を打たれ、これを購入させていただき日本で販売することにより、多くの方々に平和の強い思いを共有していただきたいと考えました。そして、その収益はチャンタさんの工房で働く学生の学費と私たちのカンボジアでの活動費に充てられています。参加されたお坊さん方や新聞記者の方は、このことに共感され、たくさんのアクセサーを買ってくださいました。有難うございます。

       チャンタさんが作ったアクセサリー /左下は、当時の内戦で使用された薬莢

※後日 野田上人から、参加の方々が、かなり興味を抱かれたとのメッセージをいただきました。わたしどもとしては、今回の講演に共感してくださってお坊様方の中から将来私たちと協働してくださる方が現れたらなあ、とひそかに期待しております。

                                        合掌

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