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Chanthaさんインタビュー

先日カンボジアを訪問した際、アクセサリー作家Chanthaさんへインタビューさせていただきました。

そのインタビューの様子とChanthaさんの言葉を、文章と動画で記録しましたのでご覧ください。

プノンペン郊外にあるChanthaさんの工房で、エアコンもなく、扇風機だけが音を立てて回っている工房の、じっとりと汗ばむ空気の中、Chanthaさんは私たちのインタビューに、気さくに答えて下さいました。

  • Chanthaさんが育った頃のことを教えてください。

私はバッタンバン郊外の貧しい村で生まれました。

幼い頃に妹と母親を相次いで亡くし、父親と二人で住んでいました。

その父も、私が8歳の時に村がポルポト軍の襲撃に遭い、銃撃戦で撃たれて死んでしまいました。

私は幼かったので、父が死んでいるということが分からず、横たわった父にすがり、いつまでも泣きながら「お父さん、起きて」と呼びかけていたそうです。

孤児となった私は祖父母のところに預けられ、そのうち祖母も亡くなってしまったため、海外のNGOが経営する孤児院に預けられました。

子供の頃学校に行けなかった私は、クメール語の読み書きやアクセサリーの作り方などを、そこで習い覚えました。

私たちを迎え入れ、いろいろな説明をしてくれている時のChanthaさん、

その柔らかな物腰と優しい口調からは想像もできないほど、彼の人生は過酷を極めたものでした。

作業の手を止めずにその話を聞いていたChanthaさんの奥様が、

傍らでそっと涙を抑えている姿が、とても印象に残りました。

  • 武器でアクセサリーを作り始めたきっかけはなんですか?

16〜17歳の頃、プノンペンに出て宝飾品や土産物の店で働き始めましたが、ある時店に外国人が銃弾の破片を持ってきて、これを使って植木鉢を作ってくれ、と言ってきました。

その注文を受けて作っている時、ふとこの材料を使ってアクセサリーが作れないだろうか、と思いつきました。

金や銀でアクセサリーを作ると高価なものになってしまう、でもこの銃弾の破片ならもっと安くでき、普通の人にも買ってもらえるのではないか?それが、武器を使ってアクセサリーを作り始めたきっかけです。今は主に銃弾の薬きょうを材料として使っていますが、郊外の村の人に集めてもらい、買い取って作っています。薬きょうは真鍮で出来ているので加工しやすく、美しい光沢も出ます。

● Chanthaさんにとって、このアクセサリーを作ることはどんな意味があるのですか?どんな思いで作っているのか教えてください。

内戦の遺物であり、人を殺す道具である武器を溶かして、平和や愛の象徴であるアクセサリーに作り変えることで、もう戦争の時代は終わったのだ、これからは平和の道を歩むべきだ、というメッセージを伝えたいのです。

武器を作っている会社の人にも、ぜひこのアクセサリー見てもらい、奥さんへのプレゼントとして買ってもらいたいと思います。そうすれば自分が何をしているのか、きっと分かるはず。

戦争はすべてのものを奪います、家族も、家も食べ物も、教育を受ける機会さえも…

武器から平和のシンボルとしてのアクセサリーを作るのは、私自身の辛く悲しい思い出を乗り越えるためでもあり、また自分の子供たちにも、他の誰にももう二度とこんな思いをさせたくない、という願いを込めているのです。

  • 今後の目標や将来の夢など、教えてください。

今この工房には、若いスタッフが2人働いています。彼らはここで働いた給料を大学の学費に充てることができるし、十分な教育を受ければ将来の仕事の選択肢も広がります。

またカンボジアには個人のアクセサリー職人が、技術を習得できるところがほとんどありません。職人の修行をしたい若者がもっと働けるように、将来はこの工房をもう少し広げたいと思っています。それは地域の働き口がない若者に、雇用の機会を与えることにもつながります。

そうして彼らにも、このアクセサリー作りを通した平和への思いを引き継いでいってもらえたらと願っています。

  • 日本の皆さんへメッセージをどうぞ

どうか日本の皆さんにも、私たちのこの想いが伝わればと思います。

そして一人でも多くの人に、カンボジアのことを知ってもらえれば、またこのアクセサリーを手にとって、平和の大切さに思いを馳せてもらえたら嬉しいです。

インタビューをしている間もずっと、

にこやかな表情を絶やさず語ってくれたChanthaさんでしたが、

彼のたどってきた想像を絶する苦難の道を考えると、

そこからここまでの域に達するためには、

相当の信念と、貫き通す芯の強さがなければならなかっただろうと思います。

そしてだからこそ、彼の語る言葉の一つ一つが、

とても重みを持って、心の内にずしりと印象付けられたインタビューでした。

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