パンニャ・サストラ大学タクマウキャンパス (PUC Takhmau)訪問 2022年11月21日
2019年以来3年ぶりの訪問となった PUC Takhmauキャンパス、前回訪れた時はまだ建物も整備半ばの状態だったのが、立派な教室や受付、事務所、パソコンルームなどもできており、 発展を遂げている様子がうかがえました。
今回は本当に久しぶりのため、いろいろなことを話し合い確認する必要があり、滞在中3回にわたって訪問することになりました。
2階にある応接室に通されると校長のサヴォンさんご夫妻が暖かく迎えてくださり、挨拶のあと各教室を巡り、生徒たちに仏教絵本を配らせてもらいました。
現時点での総生徒数は300人ほどで、日本でいう小学校のクラスが6クラス、コンピューターなどIT関連の授業を教えるクラスが2クラス、他に夜間のクラスも6クラスあるそうです。
教師は外国人や僧侶を含む8名体制でやっているとのこと。



開校してすぐにコロナウィルス感染拡大の影響を受けて閉校を余儀なくされ、その後2年間は開いては閉じを繰り返す状態が続いたとのこと。
オンライン授業に切り替えたものの、インターネット状況の不具合などの諸事情で思うように進まず、教師もスタッフも疲弊してしまい生徒数も教師も減少の一途を辿ったそうです。
相当苦しい時期が続いたようですが、今年はようやく状況が落ち着き9月の新学期から生徒も徐々に増えてきたとのこと。
設立時から支援してきた私たちとしてはネットを通じて苦境を伝え聞いても、コロナウィルスの影響で渡航もままならず、日本で気を揉んでいるばかりでしたが、どうにか閉校を免れただけでも良かったと、ほっと胸を撫でおろしました。
しかしまだ問題は山積みのようで、生徒募集の問題、教師やスタッフの給料や校舎の家賃など経営面の課題が多いようです。
生徒の募集にあたっては、コロナ禍で親の収入が減っており、授業料を払えない人も出てきたので、授業料を半額にするなど過度の割引をした結果、今度は教師やスタッフの給料が払えなくなる、安い給料で辞めてしまう教師がいる、本来の全日制クラスより夜間など定時制のクラスの生徒が増え、定時制クラスは授業料が安いので利益率が下がる、などさまざまな問題があることがわかりました。
私たちからは、子どもたちの道徳教育の面で仏教の説話を元にした動画を制作していること、保健衛生を促進するため、衛生教育や応急処置など子どもたちや親御さんに理解してもらいやすい内容にし、これらもトピック別に動画化していく予定であることを伝え、PUCのホームページやSNSなどにもリンクして皆に見てもらえるようにすることなどを話し合いました。
今後の展望としては、外国人教師が5人いるという強みを活かして、英語だけでなく日本語、中国語、韓国語など外国語を主体としたインターナショナルクラスを作りたいとのことで、他にもコンピューターコースを充実したいとのことでした。
2回目の訪問では、サヴォンさんの奥さんテェアリスさんも加わり、PUCタクマウ校の普及方法について話合いました。
全国に10校ある伝統あるパンニャ・サストラ大学の支部校として、タクマウ校ならではの特徴とコンセプトをはっきり打ち出すこと、それを広く地域の人に知ってもらうために、ホームページやS N S、チラシ、ポスター、動画、ポスティングなどあらゆる手段を使うこと。
コンセプトは「P U Cタクマウ校は、幼児教育の段階から仏教に根ざした人格育成を中心に据え、知性と道徳、慈愛の心を兼ね備えた人間を育てます。」
経費のかからない方法で、積極的に社会活動を行い地域にアピールする。
例えばお寺や街の定期的な清掃活動、イベント参加など。
ポスターやチラシの制作にあたっては、アイディアを出し合ってイメージを共有する。
などのことを話し合いました。
3回目の訪問では子供達に新しく制作した「アショーカ王物語」の動画を鑑賞してもらい、交流しました。子どもたちの反応も上々で、とても喜ばしく思いました。
またPUC学長のDr.Kol Pheng氏とも面会し、動画を観ていただくと大変喜ばれ、このような動画をもっと作って欲しいとのことで、ご自身が編纂された古典の仏教説話集をくださり、「これらの説話は古典の文章を誰にでも分かりやすく書き直したものなので、この50話の中からどれでも好きなものを選んで題材にすると良いです。」というありがたいお話もいただきました。
2〜3年後には、タクマウに新しい空港ができ、町も大きく発展することが見込まれるそうで、今よりずっと人口も増え、プノンペンまで働きに出なくてもタクマウで働く人が増えるはず、そうなればP U Cタクマウ校の生徒も教師も大幅に増える見込みがあるとのこと。
厳しい状況の中でも、少しでも良い生徒、良い教師を育てようと頑張ってきた苦労が、報われる時がやがてくると、将来への希望と新たな決意を持ってお別れしました。


